星の王子さま_ぼっちの発見

  • 2017.01.27 Friday
  • 21:35

サン=テグジュペリ作・内藤濯訳『星の王子さま』(岩波書店)

先月入手した『星の王子さま』を読んでみた。箱根の「星の王子さまミュージアム」は、実際は子ども向けではなく大人向けの施設だった。じぶんはずっと『星の王子さま』は子ども向けの童話?と思っていた。しかし読んでみれば、これは子ども向けか?と考えさせられる作品だ。もちろん、子どもも読んでいいわけなのだが・・・。

 

童話とは言え、我々のよく知る日本の童話や、「赤ずきんちゃん」などとは随分と趣が異なる。正直、どう読んで(解釈して)いいのやら分からないというのが本音だ。ただ、何とはなしにしばらく手元に置いておきたいという感じはしている。はじめに、フランスの親友である ”レオン・ウェルト” にという文から始まる。

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著者が第二次大戦中、フランスからアメリカに亡命していた時期に書かれたものらしい。おそらく本作品は、いろんな研究者が作者の生立ち、時代背景などから、心理学的技法も使いながら分析し尽くされているのではないかと想像する。そのような側面にも興味がないではないが、しばらくの間、今の無知のままのじぶんでこの作品に接してみたいと思っている。

 

七十にして『星の王子さま』とは思いもしなかった。働き盛りの頃は、ほとんどノンフィクションものしか読まなかった。今にして思えばもったいないという感じがする。今は、ノンフィクションもフィクションの一形態なのではないかという気さえしている。壮大なフィクションの世界を取りこぼしてきたのは失態としか言いようがない。

 

この作品に登場するのは、「ぼく」(作者自身)、王子さま、王様、うぬぼれ屋、呑み助、実業家、点燈夫、地理学者、そしてキツネ、ヘビなどである。そして全員「ぼっち」(一人ぼっち)なのである。じぶんは「ぼっち」という使い方には不慣れなのだが、クリスマスに一人で過ごす人を「クリぼっち」などと使うらしい。

 

じぶんも家庭の都合で、一年前から一人暮らしになった。家人が隣町の息子のマンションに行ったきりなのである。と言っても、車で15分ほどの距離で毎晩夕食は一緒に食べ、じぶんも週に一二回はマンションに泊っているので、実際は ”一人暮らしもどき" かもしれない。

 

それでも誰もいない家に帰る時は、やはり ”ぼっち感” を覚える。少しずつ慣れ、感覚も微妙に変化してきているように思えるのだが、そんな折に『星の王子さま』に出合った。そして、この作品の登場人物たちと同じ ”ぼっち感” を共有しているように思えたのである。この作品をこんな風に解釈?している読者などは他にいるのだろうか(?)。

 

さて、じぶんの ”ぼっち感” は ”一人暮らしもどき" の生活だけから来ているものではないように思える。やはり年齢が関わっていると考えざるを得ないのである。じぶんもあまり意識はしたくないのだが、” 終わりは見えねど感じられるほどに近くなってきた ” ということではないか。これは若いころにはなかった感覚だ。

 

『星の王子さま』の登場者たちはそれぞれ自分の小さな星に一人で住んでいる。それはまるで、人間社会の自分のことで精一杯の大人たちを思わせる。そして、自分が「ぼっち」であることに気がつくヒマもない。王子さまも家ほどの小さな星に一人で住んでいた。ある日、他所から飛んできた種が芽を出し、きれいな一輪のバラの花が咲く。

 

王子さまはこの美しいバラが好きになる。王子さまはけなげに面倒をみるのだが、バラの対応は冷たい。このことをキッカケに王子さまは自分の星を離れ旅にでる。この時、バラは初めて自分の過ちに気づき後悔する。よくある話だ。

 

旅に出た王子さまは6個の星と孤独な6人の大人に出会う。7番目に地球に来て、王子さまはヘビとキツネ、そして「ぼく」に出会う。そして、この地球で自分が別れてきたあのバラが好きだったことを思い出す。世間の多くの人々は王子さまが出会った六つの星の住人のようだと思う。王子さまのように、また星に戻って好きなバラと暮らせるようになる人は稀に違いない。

 

じぶんは、作者が飛行機乗りであり、孤独な夜の単独飛行も体験しているに違いないと想像する。そんなとき、「ぼっち」の飛行機乗りは夜空の満天の星に何を感じたのだろうと想いが廻る。サン=テグジュペリは、1944年7月31日偵察飛行に飛び立ち帰らぬ人となった。『星の王子さま』を遺して・・・。

 

サン=テグジュペリを想う (1916/12/28)

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