アニメとファンタジー

  • 2016.10.03 Monday
  • 21:20

映画『君の名は。』を観てきた。8月に封切りになって好評判だというのは聞いていたのだが、我ら世代は「君の名は」と聞くと50年代の菊田一夫のラジオ番組を思い起こしてしまい、どんな作品?、ヒロインは誰?とか思いはしたが、特にストーリーに興味は覚えなかった。しかし、後で新海誠監督のアニメ作品と知り気になりだした。

 

新海監督(wikipedia)は、いつだったかネットでアニメ『星を追うこども』を見たときに知った。それははジブリ作品(宮崎駿)の影響を強く感じるアニメ作品だった。しかし、それはアニメ監督・宮崎駿へのリスペクトの故だと想い、じぶんには好印象がのこった。

 

http://www.kiminona.com/index.html

 

平日だったので入りは五割程度だったろうか。驚いたのはシニア世代と思われる人たちが多かったことである。暇?ということもあるかもししれないが、まさか「君の名は」を勘違いした?ということはないだろう。じぶんもシクスティズ最後の年を生きる充分すぎるシニアなのだが、もともとアニメ好きという言い訳?がたつ。しかし、御同輩たちの動機がちょっと気にかかる。

 

ラストに向けてのシーンは、感性が鈍ってきているじぶんにも、評価通り確かにちょっとジーンとくる。高校生ぐらいの若い世代ならより感動的なシーンとして捉えられるのかもしれない。全体的に印象的なのは、これも評判通りなのだが背景画がリアルで(と言っていいのか、ちょっと戸惑いを感じるが)綺麗なのである。これは監督の拘り(作風)であるらしい。街も自然も活き活きと描かれている。

 

メインのストーリーだが、やはりSFファンタジーだろうと思っていた。地方の女子高生(三葉)と東京の男子高校生(瀧)の人格が入替わるというはなし。人格入替わりのはなしは前にもどっかで聞いたことがある。今、現在のこの国の社会が舞台となっており、二人の今風高校生のごくごく当たり前の生活がコミカルに描かれていく。

 

この生活が、ある彗星の接近を境に徐々にクライマックスに向けて大きく変化を遂げる。二人が自分たちの入れ替わりが夢ではなく現実であることを悟ってから、しばらくして、入れ替わりが止まる。このことが気になりだした瀧は入れ替わったときの記憶を頼りに三葉を探す旅に出る。そして、驚愕の事実に直面することになる。

 

三葉の故郷の町は3年前の彗星の直撃を受けて町が全滅?していたのである。この辺りから物語の時間軸の変化が激しくなり爺の頭では付いていくのが困難になった。しかし、はなしが二転三転して結局、町の人々のほとんどは助かったという世界に戻る。これはパラレルワールドのはなしだろうか?、と取り敢えずじぶんを納得させる。

 

この解釈は監督の構想とは別モノかもしれないが、今のじぶんにはそれほど重要ではない。むしろ、前述したようにこれは本当にSFファンタジーなのかと疑い始めている。映画の始まりに、彗星が割れて光の塊が地上に落下していく映像がある。後半に、これが三葉の故郷の町を直撃する彗星だと判明するのだが、この衝突のシーンがとても恐ろしく感じられたのである。

 

じぶんにとってファンタジーとは、どんなに啓蒙的な内容であったとしても、初めからフィクションだという前提がある。子どもの絵本のようなものである。しかし、この作品は背景、生活の描写があまりにもリアルで、今じぶんの身の回りで実際に起きている現実だと感じさせるような気力を持っている。しかし、どんなにリアリティがあったとしても、人格の入替わりとかタイム・トリップのストーリーが挿入された途端にSF化するというのが一般的な考えだろう。

 

現代の最先端の粒子力学の世界はほとんど「不思議の国アリス」ワールドである。粒子力学の緒仮説を証明するための実験施設を考えてみればいい。 欧州合同原子核研究機構(CERN)の円形の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)は山手線がそのまま地下に埋められたような規模の施設である。陽子を光の速度近くまで加速して衝突させて、そのエネルギーで宇宙創世期の頃の時空を一瞬出現させ、誕生・消滅する素粒子を追うという実験である。

 

 

その世界と、本作品の入替わり・タイム・トリップの世界はどれほどの違いがあるのだろうか。じぶんには同じようなものではないかと思えてしまう。じぶんの頭はファンタジーと捉えようとしたが、身体は別のことを感じていたという表現もできる。この映画を見終えた時、妙に身体が緊張していて疲れの気分が残ったことを思い出す。

 

新海誠監督、そして『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』の細田守監督は才能あるアニメ作家・監督だと思う。宮崎駿監督のアニメ作品を楽しみにしてきたじぶんにとって、これから期待を寄せるアーティストである。そう言えば、両監督とも今のリアル社会を物語のベースにしている作品が多い。それ故にファンタジーとは必ずしも親和性があるとは言い難い面があるのかもしれない。

 

しかし、現実の世界情勢を見ると、怪しげな雲が広がりつつあるような状況が感じられて不安に思うことが増してきている。こんな状況だからこそ、『君の名は。』のような作品を問うことに意味があるのかもしれないとも思う。正直言うと、じぶんにはあの彗星衝突の映像が原爆投下の映像とダブって見えてしまったのである。

 

それでも両監督には、いつか、老いも若きも男も女もどっぷりファンタジーの世界に浸れるような作品を期待します!!

calendar

S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< May 2017 >>

selected entries

categories

archives

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM