Amazonよ何処へ

  • 2015.04.28 Tuesday
  • 10:52
二年前に iPhone5 を入手、半年後に Kindle を買った。iPhone5 で直ぐ始めたのが電子ブックで、Kindleには英語の本を集めた。Amazonで無料もしくは安価で英語の電子ブックが手に入る。ドクター苫米地の説に従って英語の本のライブラリーを作ってみようと思った。

Kindle は辞書を内蔵しているので、電子ブックから直に辞書の検索ができる。これもドクター苫米地の説に従って「英英辞書」にしてみた。初めて通常の価格で買った電子ブックが『The Hunt for Red October』だ。著者のトム・クランシーが亡くなったとのニュースに思わず購入のボタンをクリックしてしまった。映画のストーリーを思い出しながら何とか読み終えた。おそらく、かなりの思い違いと勘違いの箇所があると思う。

そして二冊目が『The Everything Store』だ。Amazonの創立者ジェフ・ベゾスの物語である。一通り読み終えるのに5ヶ月かかった。毎日読んでいたわけではないにしても長すぎた。理解度はと問えば、漢文の書を読むよりはマシかもしれないという気がしている。そもそも、じぶんが英語の本を読んでみようと思い立ったのは、言葉(日本語)を抑制(※)してみたいということと、英文で得られるかもしれないナレッジを期待してのことだ。昨今流行りの英語ブームとは全く無縁のものである。言語としての英語の面白さについては、また別途に整理してみたいと思っている。

The Everything StoreTHE EVERYTHING STORE
Little, Brown and Company(amazon

Author: BRAD STONE
Brad Stone has covered Amazon and technology in Silicon Valley for such publications as Newsweek and the New York Times . He is a senior writer for Bloomberg Businessweek and lives in San Francisco.

さて、『The Everything Store』だが、理解度は置いといて、それなりに愉しめた。まず、新刊本を原語(英語)で読むなどということは生まれて初めてのことだ。これもドクター苫米地の推奨によるが、できるだけ翻訳しないようにした。それでも{脳}は勝手に自分の知っている日本語に変換しようとし、自分の知らない単語・フレーズに出くわすと{脳}は勝手に固まる。そんな時は、理解できなくても、何とか文章を味わえるように努力した。こんな状況だが、本書が描こうとしたコンテンツを、おぼろげにでも捉えることができたのではないかと思っている。

biological という単語がある。biological father,mother という使い方があるのを知ったのは、スタンフォード大学卒業式での有名なスティーブ・ジョブスのスピーチからである。実父、実母と訳すのだろうか、それでも何となくニュアンスの違いがあるような気がする。じぶんは、そのあまりにダイレクトな表現に驚き感心した。スティーブ・ジョブスもジェフ・ベゾスも biological father に縁がなかった。

これは、別に、先進的な起業家になるには義父に育てられる方が良いというような話ではない。人種のるつぼのアメリカという国では、離婚・養子縁組などはごくごく当たり前の社会制度なのではないか、とじぶんは解釈した。本書のジェフ・ベゾスの生い立ちを読んでいてそんな気がしてきたのである。若くして結婚した母親は出産して離婚する。そして、キューバ革命を機に亡命してきた男性と再婚して、ジェフはベゾスを名のるようになる。この家庭でジェフ・ベゾスはしっかりと育ち(?)世界有数の創業者の一人となった。

たしか、評論家 岡田斗司夫氏のトークの中に出てきた話だったと思う。それも誰かの受売りだったと記憶しているのだが、” 70年前のアメリカとの戦争は企業と官僚の戦いだった ” というものである。その時は上手い事を言うと思った。不思議と共感できたのである。今回『The Everything Store』を読んで、そのことを再確認できた思いがする。これは広く言えばカルチャー、具体的には教育、社会規範の違いなのだろうと感じた。

 Jeff and his siblings grew up observing their father’s tireless work ethic and his frequent expressions of love for America and its opportunities and freedoms.

本書の中の一節である。” 親の背中を見て子は育つ ” と言うが、まさにジェフは義父の背中を見て育った。アメリカという国のチャンスとフリーダム(自由)を信じて懸命に働く父親を見つめながら。こうした風土で育まれた人々によって支えられてきた UNITED STATES は、じぶんが思う以上にビジネスライクな社会風土を作り上げた。思うに、戦争でさえビジネスライクにやり遂げてしまう国なのかもしれない。先のアメリカとの戦争に対しては色んな言説があるが、企業と官僚の戦いだったというのも、意外に的を射た話なのかもしれない。

このジェフ・ベゾフと Amazon のストーリーは、じぶんにとって、アメリカ・ビジネス社会の再現ストーリーのように映った。本書には、アメリカの有名無名の会社の名前が数多く出てくる。さらに、それらの会社に係る多くの個人名が頻繁に記される。日本において、同じような伝記モノでこんな表現がなされるだろうか。

ボーイング、マイクロソフト、ウォルマート、バーンズ・アンド・ノーブル、コストコ、アップル、グーグル、イーベー等々その他多くの錚々たる企業名と関係者の名前が出てくる。それほどにベゾスとAmazonに係る企業と人物たちが多岐に亘っているということだ。しかも、それらの関係が実にダイナミックなのである。群雄割拠というか、企業を戦国の諸藩に喩えてもよいのではと思えるほどに、生き残りをかけて知略をつくす。

戦国時代と異なるのは「賢臣は二君に仕えず」ということはない。企業も個人もダイナミックにその拠るべきところを変えていく。まるで企業と個人が対等の位置にいるように見えてくる。その善し悪しは問わない。しかし、このダイナミックさがあの国の力の源泉の一つであろうと確信する。しかし、日本のあり方を問うのはまた別の課題となるだろう。創立者 ジェフ・ベゾス個人のビジョンへの傲慢なまでの強い執着に圧倒される。

 Bezos’s goal is and always has been to take all the inconvenience out of online shopping and deliver products and services to customers in the most efficient manner possible.

目的のためには手段を選ばず、という意思が感じられる。本書のタイトルではないが文字通り THe Everything Store を目指している。Everything はまさに有形無形のすべてである。このことを実現するために、ベゾスは始めっから、単なるリテーラーではなくテクノロジー・カンパニーであることにこだわり続けた。AWS(Amazon Web Services)はその象徴的存在だ。

 Amazon Web Services, or AWS, is today in the business of selling basic computer infrastructure like storage, databases, and raw computing power. The service is woven into the fabric of daily life in Silicon Valley and the broader technology community. Startups like Pinterest and Instagram rent space and cycles on Amazon’s computers and run their operations over the Internet as if the high- powered servers were sitting in the backs of their own offices. Even large companies rely on AWS― Netflix, for example, uses it to stream movies to its customers. AWS helped introduce the ethereal concept known as the cloud, and it is viewed as so vital to the future fortunes of technology startups that venture capitalists often give gift certificates for it to their new entrepreneurs. Various divisions of the U.S. government, such as NASA and the Central Intelligence Agency, are high- profile AWS customers as well. Though Amazon keeps AWS’s financial performance and profitability a secret, analysts at Morgan Stanley estimate that in 2012, it brought in $2.2 billion in revenue.

所謂、クラウド・コンピューティング・サービスである。自前のシステムとサーバーを持たなくとも、そんなシステムを所有しているかのようなサービスを受給できる。アメリカ政府、NASAもこのサービスを利用しているというのだから驚きだ。記憶に間違いがなければ、日本の政府関連組織も時間とコストを理由にAWS を利用したことがある、と聞いたことがある。

しかも、これらは Amazon が目指すゴールであって、ベゾス個人の目標はまた別にあることを思わせる件(くだり)がある。

 He has vast ambitions― not only for Amazon, but to push the boundaries of science and remake the media. In addition to funding his own rocket company, Blue Origin, Bezos acquired the ailing Washington Post newspaper company in August 2013 for $250 million in a deal that stunned the media industry.

少年時代からの宇宙への夢も忘れていなかった。その大きな野望のために大きな富を必要とする。もしかしたら、こっちの方が本命なのかもしれない。長年Amazon を取材してきた著者 ブラッド・ストーンが、本書の終わりに Amazon の未来を予言している。

Amazonは、プレミアム会員のために、当日もしくは翌日配達のサービスに移行するか? YES。
Amazonは、いつか専用のデリバリー用トラックを所有するか? YES。
Amazonは、食料品にまでサービスを広げるか。YES。
Amazonは、スマホ、ネット接続テレビジョンを導入するか? YES。
Amazonは、ウェブサイト販売をより多くの国に展開するか。 YES。
Amazonは、メーカーから製品を買い続けるか。 NO。
Antitrusut の専門家は、Amazon を注視するようになるか。 YES。

これらの予言は現実となるのだろう。そして、著者の締めの文章の中にあるメッセージの一部だが、下手に訳すより、そのまま味わう方がよい気がする。

 These are not fever dreams. They are near inevitabilities. It’s an easy prediction to make― that Jeff Bezos will do what he has always done. He will attempt to move faster, work his employees harder, make bolder bets, and pursue both big inventions and small ones, all to achieve his grand vision for Amazon― that it be not just an everything store, but ultimately an everything company. Amazon may be the most beguiling company that ever existed, and it is just getting started. It is both missionary and mercenary, and throughout the history of business and other human affairs, that has always been a potent combination.


関連投稿:英語を通して言語の本質を知る (2014/09/10)
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※言葉(日本語)を抑制するといっても否定的な意味ではない。むしろ、じぶんの母語である日本語をリフレッシュできないだろうか、という思いがある。

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