本当の第二の人生!!

  • 2012.01.24 Tuesday
  • 14:55
本屋さんを覗くのは楽しみの一つなのだが、なかには本屋さんらしからぬ本屋さんもある。わりと好きななのが遊べる本屋がテーマの「VILLAGE VANGUARD」、店内のBGMが煩くてかなわない店舗もあり、小物が多く本のスペースが限られているので、書棚に置かれる本には騙りよりがある。そこが面白い。『風の谷のナウシカ』(全7巻)もここで手に入れた。

近くにホームセンンター「ジョイフル本田」がある。ここもホームセンターなのだが、インテリア、文具、趣味のグッズなども豊富でときおり徘徊する。四五日前、ふと、ブックコーナーに立ち寄りすぐ目についたのが藤原和博著 『坂の上の坂』 (ポプラ社:amazon) だ。

新聞、ラジオの紹介で知り、ちょっと気になっていた本だったのだが、著者の藤原和博氏については『五体不満足』の乙武洋匡さんが、ラジオ番組で、杉並の区立中学校の校長先生と言っていたので、中学校の校長に民間人を採用したというニュースを思い出した。

坂の上の坂著者 : 藤原和博
1955年東京生まれ。
1978年東京大学経済学部卒業、株式会社リクルート入社。
1996年同社フェローとなる。
2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。
2008年、当時の橋下大阪府知事の特別顧問に。
著書は『人生の教科書』(ちくま文庫)、『リクルートという奇跡』(文春文庫)、『35歳の教科書』(幻灯舎)など多数。

  「藤原和博のよのなかnet」
  http://www.yononaka.net

さて、本のはじまりはタイトル”坂の上の坂”の意味。
司馬遼太郎著 『坂の上の雲』 からの連想のようだが、現代は明治期とは異なり老後が長く、坂の上にあるのはぼんやりした「雲」ではなくもう一つの「坂」ではないか、という提言だ。

司馬遼太郎の”坂の上の雲”というタイトルについては、じぶんは著者とは違った捉え方をしているが、その事はさて置いて”坂の上の坂”という考え方には同感だ。著者がじぶんよりずっと若い世代なので仕様がないことだが、もっと早く出逢いたかった本である。

坂の上の坂右の図は著者が40から50代の人へ提案している「人生エネルギーカーブ」である。横軸に人生の歩み、縦軸に人生のエネルギー量を示したグラフである。定年が谷底の辺りだろうか。

しかし、多くの人はピーク時を頂点にした「山なりカーブ」を描いてしまう。ひたすら、死に向かって下っていく人生イメージである。今がピークと思っている人、既にピークが過ぎてしまっていると思っている人それぞれだが、「山なりカーブ」の人生イメージは変わらない。

著者は、考え直せと言う。もう一山あるよ。そして、人生の終わりにエネルギーが最高位に達する。じぶんも定年を迎えて、そのまま下っていくのには抵抗はあったが、ここまで前向きで積極的なイメージを持てるというのは驚愕である。

著者は、東大を卒業して当時中小企業のリクルートという会社に入ったときを、一回目の ”いい子” からの逸脱だっと言う。平均的東大生とは異なる道を行くことになる。営業マンとして一気に出世の階段を駈け上がり、30歳でメニエル(三半規管の異常)に襲われる。そして、この病気を期に、自ら出世街道を外れ専門職へと舵を切る。

その後ヨーロッパに赴任、特にパリの生活体験から自分人生を大きく見直すようになる。パリの人びとの”アール・ド・ヴィーブル”、直訳で”生活術”というような意味になるらしいが、「人と人との間を取り持つコミュニケーション手段としての芸術的生活術」に触れ、日本人の ”上手く生きる” とも言うべき現世御利益的人生観に疑問を持つ。

著者は、元来「人生に正解なんてない、自分で納得できる解を作り上げていくしかない」という考えを持っていたようだが、パリの体験を経て尚その意を強くしていったように思える。「納得解」を多様に導ける「情報編集力」が問われる、とか、成熟社会では戦い方のルールそのものが違ってきている、先ずは第一歩、そして修正する、などの ”生き方” を提唱する。

ヨーロッパからの帰国後、リビングからテレビを追放、哲学の必要性、宗教の役割、そして子ども達のメディア・リテラシーの必要性などを考える。その結果として、 ”住宅、介護を中心とした医療、教育そして組織の壁を超えて個人と個人を柔らかくつなぐネットワーク社会” を目指すようになる。

著者は本書の中で、「坂の上の坂」を目指すための具体策にも触れており、「会社を利用し尽くす」 「消費の作法」 「コミュニティをシフトする」 「パートナーと向き合う」 「死とお金を考える」 「本当に必要な備えをする」 などの章を設けて、さまざまな提言をしている。

本書は、我々のような既に定年を過ぎたものにとっても参考になるが、それよりも、ばりばりの若き社会人のあなたにとってこそ ”良き指南書” になるのではないだろうか。今は社会の変換期、若い世代こそ自分の新しい人生観を作り上げていかなければならないのだと思う。しかし、それは本当に難しいことであるとも思う。

じぶんのサラリーマン生活体験からしても、あの中で、違った価値観、ルールの生き方があるということを認識するというのは簡単ではない。 ”人生ゲーム真っ直中のプレーヤー” が別のゲームを想像しうるかと言えば、それは稀少なことであろう。しかし、それが可能か否かで、一人ひとりの人生が、この国の未来が決まってくるような気がしてならない。

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